塩コラム

この記事を書いた人:日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂

ソルトコーディネーター青山志穂
日本の塩の第一人者で塩の専門家として「一家に三塩、食卓に笑顔を」をモットーに活動している青山志穂先生

このブログでは、「自然塩」「天然塩」という名称が一般的に浸透していることから、「イオン膜以外の伝統的な製法で製造された塩」を「自然塩」「天然塩」と表記していますが、食用塩公正取引協議会のルールにより、製造メーカーが「自然塩」「天然塩」と表記することは禁じられています。

特定の意図があって記載しているものではありません。

安い塩は体に悪いって本当?

ネットを検索していると「安い塩 体に悪い」という検索キーワードを見かけます。

「安い塩 体に悪い」という検索キーワード
「安い塩 体に悪い」という検索キーワード

多くの人が検索しているのだと思います。

減塩ブームだったり、健康意識が向上してきたこともあり、塩に関心を持たれる人が増えてきているのはとても嬉しいことなのですが、間違った情報を発信されている人が多く、間違った理解をされてしまっている人が多いのはとても残念なことです。

そこで、安い塩は体に悪いという噂について塩の専門家である青山志穂先生に詳しく解説してもらいました。

青山志穂

結論からいうと、安い塩が体に悪いということはありません。

ネットなどで、「安い塩が体に悪い」と言われる理由や原因として、いくつかの要因が考えられます。

以下は、一般的に安い塩が体に悪いと主張する人たちの説です。

  1. 安価で大量生産されている塩は塩化ナトリウム純度が高い
  2. 安い塩は添加物を使っている
  3. 安い塩はミネラルバランスが偏っている
  4. 安い塩は大量摂取により健康へ悪影響がある

ネットでよく見かける上記の4つの疑問を青山志穂先生に質問してみました。

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①塩化ナトリウム純度が高い安い塩は体に悪いって本当?

価格の安い塩の代表といえば、「食塩」や「精製塩」という商品を思い浮かべる人が多いでしょう。

食塩と精製塩
食塩と精製塩

年間90万トンほど生産されており、塩化ナトリウムの純度が99%以上と非常に高いのが特徴です。

塩化ナトリウム純度の高い塩は、マグネシウムやカルシウム、カリウムといった他のミネラル成分がほとんど含まれておらず、塩味が強い傾向があります。

このことからネットでは、過剰摂取によって高血圧や心臓病などの健康リスクを高める可能性があるので、「安い塩は体に悪い」と言われているようです。

実際のところ、この点はどうなのでしょう?

青山志穂先生に質問してみました。

青山志穂

結論から言うと、「塩化ナトリウムの純度」と「塩の価格」は相関関係はありません。

「安い塩=塩化ナトリウム純度が高い」というのは間違いです。

塩化ナトリウム純度が高くて価格が高い塩もあれば、塩化ナトリウム純度が低くて、価格や安い塩もあります。

塩の販売価格は、その製造目的や生産にかかるコスト、生産規模、ブランディングなど、さまざまな要因によって異なります。

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②安い塩は添加物を使ってるというのは本当?

塩の製造工程で流動性を向上させたり、塩化ナトリウムの構成比を下げたりする目的で、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、塩化カリウムなどの添加物が使用されることがあります。

炭酸カルシウム
炭酸カルシウム

これらの添加物が体に悪影響を与える可能性があり、健康への懸念を引き起こすことがあるから「安い塩は体に悪い」というのがネットでよく見かける噂です。

たとえば、流動性を保つためにフェロシアン化カリウムやシリカなどが加えられることがありますが、これらの添加物の過剰摂取は健康に影響を与える可能性があるとされています。

そのような添加物を使用している安価な塩は本当に体に悪いのでしょうか?

青山志穂先生に聞いてみました。

青山志穂

結論から言うと、価格と添加物を使うか無添加にするかは関係ありません。

そして、価格と添加物の有無も関係がありません。

塩に使われる添加物の目的は、主に3つあります。

  1. 湿気を防止してさらさら状態を保つ
  2. 塩そのものを湿気にくくする
  3. 低ナトリウム塩を作る

添加物を使うかどうかは、その塩をどういった目的で製造しているのか、もしくはどのような状態で販売したいかによって異なります。

塩に使われる添加物について解説した記事はこちら

無添加の塩?有機の塩?塩に使われる添加物6選!勘違いしている人が多いので説明します!

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③安い塩はミネラルバランスが偏っているって本当?

塩にカルシウムやマグネシウム、カリウムなどが含まれていない「食塩」や「精製塩」が安い価格で販売されていることを受けて、SNSやインターネット上で「安い塩は体に悪い」と表現されることが多いようです。

特に、健康を意識した食事を心がける人にとっては、これらの栄養素の不足が気になるところなのかもしれません。

そこで青山志穂先生に、塩化ナトリウムしか入っていない安い塩は体に悪いのか質問してみました。

青山志穂

結論から言うと、塩の価格とミネラルバランス(塩化ナトリウムの純度)は関係ありません。

2400種類くらいの塩を持っていますが、塩に含まれるミネラルバランスと価格に相関関係は見られません。

販売価格が高くても塩化ナトリウムの純度が高い塩はありますし、その逆もあります。

たとえば岩塩を例に挙げると、多くの岩塩は塩化ナトリウムの純度が高い場所から採掘されるため、商品の塩化ナトリウム純度も高めですが、価格は安いものから高いものまでバラバラですよね。

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④安い塩は大量摂取により健康へ悪影響がある

「安い塩の過剰摂取は、健康への影響を引き起こす可能性がある」という内容の論説をネットではよく見かけることがあります。

ナトリウム純度の高い塩を多量に摂取すると、塩分過多となり、血圧の上昇や心臓病のリスクを高めることになるためだというのがその理由のようです。

また、体内の水分バランスが崩れることで、腎臓への負担が増える可能性もあると指摘する声もあります。

この点について、青山志穂先生に質問してみました。

青山志穂

結論から言うと、価格とミネラルバランスは相関関係がないので、販売価格が高いか安いかで塩の特徴を見分けることはできません。

また、価格が安い塩に限らず、どの塩も、大量に摂取すれば悪影響が出ます。

塩によって日常的なミネラルの補給を目的とする場合は、塩化ナトリウム以外のミネラルも含んでいる塩を選ぶと良いのではないでしょうか。

塩に含まれるミネラルバランスは、パッケージの裏側に「食塩相当量」という記載があるので、そこを参考にすると良いと思います。

塩と塩化ナトリウムの違いと食塩相当量について専門家青山志穂先生が詳しく解説!

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安い塩が体に悪いということに関するQ&A集

 

Q1:安い塩が体に悪いと言われることについて青山先生はどう思いますか?

青山志穂

たぶん、「塩化ナトリウムの純度が高い塩は身体に悪い」という主張なのだと思いますが、そもそも塩のミネラルバランスと販売価格には相関関係はありません。

価格が安くても塩化ナトリウム純度が低い塩もありますし、価格が高くても塩化ナトリウム純度が高い塩もあります。

 

Q2:買わないほうがいい安い塩があると聞いたのですが本当ですか?

青山志穂

安心してください、そんな塩はありません。

日本国内に流通している塩のほとんどは、食用に適したものかどうかの検査を受けています。

価格が安い高いというよりも、どこで誰が生産したものかがはっきりしているものを選ぶことのほうが重要だと思います。

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Q3:「精製塩」「食塩」は体に悪いと聞いたのですが本当ですか?

青山志穂

「食塩」と「精製塩」は塩化ナトリウムの純度が高く、そのほかのミネラルを含まないことから、よく身体に悪いと言われているようです。

ナトリウム以外のミネラルの補給を目的とする場合は、100g中の食塩相当量が低い塩を選ぶと良いでしょう。

ただし、塩化ナトリウムは悪者にされがちですが、身体の基礎機能の調整をするという非常に重要な役割を果たしています。

そして、腎臓が正常に働いている場合、多少の過剰摂取が続いても、尿や汗から排出されていきます。

問題なのは、排出が追いつかないほど毎日大量に摂取し続けることです。

どんな塩でも、適量摂取することが一番重要です。

 

Q4:「伯方の塩」は安全ですか?

青山志穂

もちろん安全です。

むしろ、高品質の塩を安い価格で提供してくれているメーカーの1つです。

海外産の塩を日本の海水で溶かして溶かして、不純物を取り除き、きれいな塩水の状態にしてから、釜で煮詰めて結晶させています。

こうすることで、にがりを適度に含んだ塩を製造することができます。

海外産の原料を使用することで、コストパフォーマンスに優れた塩が製造できます。

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Q5:安く買える天然塩や自然塩ってありますか?

青山志穂

「塩化ナトリウム以外のミネラルを含んでいる塩で価格の安いもの」という質問と捉えて回答します。

いくつかスーパーマーケット等で手に入れやすいものをご紹介します

・「伯方の塩粗塩 1kg」 価格453円/食塩相当量 95.5g

・「赤穂の天塩  1kg」 価格410円/食塩相当量92.0g

・「瀬戸のほんじお 1kg」 価格345円/食塩相当量89.7g

ただし、塩の味はミネラルバランスだけで決まるわけではないことを、頭の片隅に置いておいていただけたらと思います。

 

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