塩コラム

この記事を書いた人:日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂

ソルトコーディネーター青山志穂
日本の塩の第一人者で塩の専門家として「一家に三塩、食卓に笑顔を」をモットーに活動している青山志穂先生

この記事は、ヒマラヤ岩塩の選び方の基礎から応用までを詳しく解説することで、みなさんがヒマラヤ岩塩を選ぶ時に最適な選択ができるよう支援することを目的としています。

この記事の内容は、2018年に実際にパキスタンの3つの岩塩鉱山と5つの加工所を視察し、現地で得た生の情報を元に構成されています。

2018年にパキスタンの岩塩鉱山を視察してきました。
2018年にパキスタンの岩塩鉱山を視察してきました。

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日本で流通しているピンク岩塩はどこ産?

ピンク岩塩の生産地として有名な国は以下の通りです。

  • パキスタン
  • ボリビア
  • ドイツ
  • インド
  • アメリカ
  • 中国

世界各国さまざまあるのですが、その中でも特に世界的に人気が高いのがパキスタン産のピンク岩塩。

日本で流通しているピンク岩塩で一番多いのはパキスタン産のものになります。

パキスタンの地図

パキスタンでは、良質な岩塩が多く取れること、年間の生産量が多いことを踏まえ、パキスタン政府も重要な輸出品目として認識しているので、輸出が積極的に行なわれています。

世界各国に流通しています。

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ヒマラヤ岩塩に本物と偽物があるの?

ネットで検索すると「ヒマラヤ岩塩 偽物 見分け方」という検索キーワードが出てきます。

多くの検索ユーザーが偽物の見分け方を検索しているということのようです。

そこで、塩の専門家である青山志穂先生にヒマラヤピンク岩塩には、本物と偽物が存在していて、日本に偽物が流通している事実があるのかを聞いてみました!

ソルトコーディネーター青山志穂
ソルトコーディネーター青山志穂先生にヒマラヤ岩塩に偽物が出回っているのか聞いてみました!

結論をいうと、ヒマラヤ岩塩という名称で販売されている岩塩に「偽物」というものはありません。

産地を偽装するメリットがないからです。

ピンク岩塩はヒマラヤ山脈に近いパキスタンやインド以外でも採掘できます。

アメリカなどがピンク岩塩の産地として有名です。

ただ、アメリカ産のピンク岩塩のほうがパキスタンの岩塩よりも価格が高い傾向があるので、産地を偽装して販売するメリットがありません。

日本で販売するのに、アメリカから輸入するよりもパキスタンから輸入したほうが安いからです。

ですから、ヒマラヤ岩塩じゃないのに「ヒマラヤ岩塩」だとして販売するということは、メリットがないので考えにくいです。

ただ、品質も悪いものと良いものが存在します。

ヒマラヤ岩塩にはランクが存在します。

その低ランクの低品質岩塩のことを「偽物」と呼んでいる人がいるのではないと思われます。

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ヒマラヤ岩塩にはランクがあるって知ってる?

ピンク岩塩にはランクがあるって知ってますか?

ランクの仕組みや見分け方を知らないと飲食に適さない低品質のものを買ってしまうなんてこともあるかも。

実は現地のランク付けでは、食用の岩塩のランクがS、A、B、C、Dと分けられていて、色が薄くて透明感があるものがSランク、色が濃くて濁っているものがDランクになるのです。

ランクは岩塩の不純物の混入具合、透明度で決まっているというわけです。

ヒマラヤ岩塩のランク表
ヒマラヤ岩塩のランクの目安

Sランクのほうが価格が高く取引されて、ランクが下がれば当然値段も下がります。

なぜかというと、色が濃いということはそれだけ塩に混ざっている酸化鉄や赤土が多いということだからです。

Sランクの岩塩とDランクの岩塩を水に溶かしたもの
Dランクを溶かしたものには沈殿物がたくさんある

この画像は100ミリリットルの水に対して4gのヒマラヤ岩塩を水に溶かしたものです。

Sランクの岩塩は不純物が混入していないので、溶かしても沈殿物がありません。

それに比べて、Dランクの岩塩は錆び(酸化鉄)と赤土が溶けずに液が混濁し、さらに時間が経つと底に分従物が沈殿しす。

これはつまり、かなりの量の不純物が入ってるということ。

Dランクのヒマラヤ岩塩を溶かすと沈殿物がたくさん出てくる
Dランクのヒマラヤ岩塩を溶かすと沈殿物がたくさん出てくるということは不純物が多いということ

ちなみに錆び(酸化鉄)は鉄として体内に吸収されないため、「貧血予防に」というのも意味がありません。

日本に輸入されている岩塩は、正直なところこのS~Aランクのものがすごく少なく、基本的にはB~Dが混在しているような印象です。

比較的安価に売られていたヒマラヤピンク岩塩。開封してみると、D・C・Bランクの結晶が多く混入していた。
比較的安価に売られていたヒマラヤピンク岩塩。開封してみると、D・C・Bランクの結晶が多く混入していた。

名の通った小売店のプライベートブランドでも、Dランクの岩塩が混ざっているBランクのヒマラヤ岩塩が売られていたりするので、「大手で有名だから大丈夫」ってことではないのが難しいところ。

しかし、どうして有名店でも粗悪品が混じって売られているのか?

それは、単純に岩塩に対しての知識がなく、目利きができるスタッフがいないということなのだと思います。

以上のことから、食用として選ぶなら色の薄いピンク岩塩がおすすめ。

何ランクの岩塩なのかということは、パッケージに書いてあるわけではないので、自分自身が知識を得て、自分の目で見て確認する必要があります。

ピンクが濃ければ濃いほど、赤土や錆が多く混入している低ランク岩塩なので、覚えておいてくださいね。

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本物と偽物のヒマラヤ岩塩の質を見分ける4つのポイント

良質な岩塩を見分けるポイントは4つあります。

  1. ヒマラヤ岩塩の色
  2. 加工(洗浄)工程
  3. 検品体制
  4. 輸入業者の信頼度

見分けるポイント①色

先述したように、ヒマラヤピンク岩塩を選ぶときは色に注目!

食用として使うなら、できるだけ透明で透き通ったものを選んでください。

Sランクのヒマラヤ岩塩
Sランクのヒマラヤ岩塩は透き通っている

濃いピンク色・赤色で透明感がないものほど、赤土や酸化鉄などがたくさん混入しているものになるので、食用には向かない低ランクのヒマラヤ岩塩になります。

Dランクのヒマラヤ岩塩
透明感のないヒマラヤ岩塩は食用には不向き

ミル用などを買う時は、透明なものと色の濃いものが混ざっている商品も多いので注意してください。

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見分けるポイント②加工(洗浄)工程

加工(洗浄)工程を経ているかどうかという点は食用として使う岩塩選びには重要なポイントになります。

実際にパキスタンの岩塩鉱山を何か所も訪問してみて分かったのですが、岩塩鉱山の中はもちろん土足で作業するし、集積場も加工所も土足で作業し、岩塩の上にもそのまま乗ります。

ヒマラヤ岩塩の採掘現場
ヒマラヤ岩塩の採掘現場

食用の岩塩として使うことを考えるなら、日本人の一般的な感覚したら、採掘、そして加工環境は良いとは言えない状況です。

岩塩鉱山の中の採掘をしている現場にはトイレが設置されているわけではないので、作業員はどこかでトイレもすましますし、食事もしますし、休憩時間になればタバコを吸ったりお菓子を食べたりもします。

集積場はもちろん屋外ですし、加工場もほぼ野外みたいなところがほとんどです。

そうすると、岩塩にはそれなりにゴミとか汚れなどが付着します。

爆薬がそのままくっついてたりすることもあります。

それをきちんと洗い流してから粉砕しているかどうか。

ここ、結構大事なポイントだと思いませんか?

ではそれをどうやって見分けるかというと…

商品パッケージの裏側を見て下さい!

塩の業界団体の推奨ルールで、近年、パッケージの裏側に「製造工程を記載するようにしよう!」となりました。

栄養成分表示や一括表示とは別に記載があります。

ここに「洗浄」と書いてあるヒマラヤ岩塩は、洗ってから粉砕しているということなので、安心です。

洗浄工程を得ているヒマラヤ岩塩
洗浄工程を得ていることが記されたパッケージ裏面

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見分けるポイント③検品体制

検品体制がしっかりしているかどうか。

これも食用として使うヒマラヤピンク岩塩を選ぶときには必要な判断基準になります。

以前に「ヒマラヤ岩塩を販売するために現地からサンプルを輸入してみた」という企業から相談されたことがあります。

仕入れた岩塩を見せてもらったら、20kg入りのヒマラヤ岩塩の袋の中の1/3がゴミだったり、食べられないレベルの品質の悪いヒマラヤ岩塩だったことがありました。

信じられないかもしれませんが、ポテチの空袋やタバコの吸い吸い殻なども入っていました。

そのため検品にかかる手間が非常に大きく、全くコストが合わないし、そもそもこれを食用として売っても大丈夫なのか?というレベルでした。 

日本で流通しているヒマラヤ岩塩の中でも、検品をほとんどしないで詰め替えて販売しているところもあるようなので、輸入している企業の検品体制がしっかりしているかどうかは、輸入企業のホームページなどを見てチェックしたほうが安心だと思います。

見分けるポイント④輸入業者の信頼度

今日ご紹介した見分け方のポイントを踏まえて、私がおすすめする岩塩販売サイトを2つ紹介しておきます。

ちなみに別にスポンサーをしてもらっているとか、そういうことは一切ありません。

完全に私が自分の知識と経験を元に勝手に選んだ忖度なしのセレクトです。

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❶源気商会のピンクソルト

代表自らパキスタンを訪問して、信頼のできる加工所を自分の目と足で探しだしたという岩塩です。

現地スタッフからは「そこまで細かくやるのか!」と嫌がられたりしたそうですが、それに負けずに粘り強く交渉された結果、最終的には代表の納得のいく品質の岩塩だけを扱ってもらって、輸入後の検品体制もしっかり整えています。

また、楽天の岩塩ランキング№1になったり、Amazonでも販売していたりと、通販中心に販売しているので手に入れやすいと思います。

さらに、代表自身がソルトコーディネーターの資格も取得されていて、ピンク岩塩以外の塩の知識もきちんと持っています。

ちなみにこちらの源気商会では、生産量が全体の数3~4%ほどしか取れない希少な透明の「クリスタル岩塩」も扱っています。

源気商会公式サイトはこちら

❷パハール岩塩(梅研本舗ジャパン)

こちらも代表の方自らがパキスタンを訪問していて、粉砕工程から検品工程まできちんとしているところの加工所と契約をして直輸入しています。

そしてやはり日本に輸入してから自社でかなり入念に選別と検品をしているのもあって、異物混入しているのを見たことがありません。安心して購入できます。

こちらも通販をされているので、入手しやすいのも嬉しいところです。

パハール岩塩公式サイトはこちら

まとめ

最後にまとめると、岩塩を選ぶ時に気をつけるべき点は次に5つ。

  1. 塊の時には、色が薄くて透明感のあるものを選ぶ
  2. ミル用の粗く砕いたヒマラヤ岩塩で、黒や灰色の岩塩が混ざっているものは避ける
  3. 砕いてあるものを買う時には、あまり色が濃くないものを選ぶ
  4. 現地を訪問してきちんと信頼のおける加工所と契約しているメーカーのものを選ぶ
  5. 塩の知識がある人が販売しているものを選ぶ

 

もし、このブログを見て、自分の持っている岩塩が低ランクの岩塩に該当すると思った方。

別に錆や赤土が多く混入しているヒマラヤ岩塩を食べるとものすごい害があるというわけではないのですが、できれば灰色の結晶は取り除いて使ってもらえたらと思います。

全体的にすごく色が濃くて選別できないという場合は、食用ではなく、是非バスソルトとしてお風呂に溶かして浸かってみてください。汗がたくさんでるのでリフレッシュできます。

ピンク色が可愛らしくもあるので、盛り塩感覚でインテリアとして飾って置くというのも一興だと思います。

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