塩コラム

この記事を書いた人:日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂

日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂
日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂

アジシオとは?

「アジシオ」とは、味の素株式会社が1960年から販売している塩の商品名で、塩にうま味成分が加えられた調味料です。

〒104-8315 東京都中央区京橋1丁目15−1にある味の素本社ビル
〒104-8315 東京都中央区京橋1丁目15−1にある味の素本社ビル

具体的には、岡山県の瀬戸内海から採取した海水を原料とし、グルタミン酸ナトリウムを添加し、さらにコーティングされています。

このグルタミン酸ナトリウムがうま味成分として機能し、料理に濃厚なうまみをもたらすと宣伝されています。

味の素が販売するアジシオ

味の素が推奨するアジシオを使うと美味しくなる料理には次のようなものがあります。

ゆで卵 ゆで卵
フライドポテト フライドポテト
おにぎり おにぎり
天ぷら 天ぷら
サラダ サラダ
じゃがバター じゃがバター
焼き鳥 焼き鳥
浅漬け 浅漬け
チャーハン チャーハン

これらの料理に使用すると、パッとひとふりするだけで素材にうまみを加え、よりおいしくする効果があるとされています。

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食塩とアジシオの違い

日本で「塩」といった場合、一般的には「食塩」を指しますので、今回は「食塩」と味の素が販売している「アジシオ」の違いについてわかりやすく解説してみました。

日本で塩といえば食塩
日本で塩といえば食塩

「食塩」と「アジシオ」の最大の違いは、「アジシオ」にはうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムが添加されている点です。

このうま味成分により、ただの塩味だけでなく、料理に人工的な深みと風味を加えることができます。

「アジシオ」は、料理の最後の仕上げにちょっと加えるだけでうまみを加えて楽しむことができるので、食塩とは一味違った使い方ができます。

ただし、うま味成分によって塩分を感じにくくなる傾向があるため、使用する量には注意が必要だと指摘する専門家も多数いらっしゃいます。

「アジシオ」は、そのサラサラとした特性と、うま味を加える能力により、日本の食卓において多様な料理に活用されていますし、グルタミン酸ナトリウムの中毒性のある旨味によって熱狂的なファンを獲得している一面もあります。

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原材料の違い

  • 食塩:日本の海水
  • アジシオ:瀬戸内海の海水

日本で製造される「食塩」の原料となる海水は、日本国内各地の海から採取されています。

イオン交換膜(イオン膜)

 

特に岩塩や天日塩を生産するのに適した自然条件を持たない日本では、海水をもとにした製塩方法が中心となっています。

このため、日本で製造される塩はそのほとんどが海水を原料としており、「食塩」はイオン交換膜による海水の濃縮や真空式釜(立釜)を使用した煮詰め工程を経て製造されます。

それに対して、「アジシオ」の原材料となる塩は瀬戸内海の海水のみが使用されています。

ベースが日本の海水という点では、「食塩」も「アジシオ」も同じです。

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製法の違い

「食塩」と「アジシオ」の製造過程における海水の濃縮や煮詰め方には共通点が多いですが、アジシオの製造ではそこにグルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに最終的にグルタミン酸ナトリウムでコーティングするという独自の工程が加わります。

食塩の製法

日本で一般的に生産される食塩は、主に海水を原料としています。

製造プロセスは大きく三つのステップに分けられます。

  1. 採かん
    海水を濃縮する「採かん」段階では、膜透析技術を用いて海水から塩分を約6倍程度に濃縮します。

    この過程で、電荷を持った膜を使用し、塩分を選択的に通すことで、細菌類や海水中の汚染成分を除去していきます。
  2. 煎ごう
    その後、濃縮された海水(かん水)を煮詰めて塩にする「せんごう」工程があります。

    この際、巨大な釜で内部を真空にして加熱し、減圧し沸点を下げることで効率的に水分を蒸発させて塩の結晶を作り出していきます。
  3. 乾燥
    煮詰めてできた塩を乾燥させ、食用としての塩が完成します。

    この乾燥過程により、サラサラの食塩が得られます。

真空式蒸発缶

アジシオの製法

「アジシオ」は、岡山県沖の瀬戸内海から採取した海水を原料として製造されています。

その最大の特徴は、「食塩」の結晶をグルタミン酸ナトリウムを添加してコーティングしている点にあります。

このことから、「食塩に『味の素』を添加しているだけ」と自然食品派の人たちから揶揄されることも多いようです。

グルタミン酸ナトリウムは人工的なうま味成分であり、「アジシオ」に独特の旨味を与えています。

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結晶の違い

アジシオも食塩も結晶体の形は立方体で同じです。

 

添加成分の違い

「食塩」には何も添加されませんが、「アジシオ」にはグルタミン酸ナトリウムという添加物が添加されてます。

グルタミン酸ナトリウムでコーティングすることで旨味を出すことができるほか、サラサラになって湿気にくくなるという特徴もあります。

 

味わいや風味の違い

「食塩」はナトリウム以外のミネラルが除去されていて、強い塩味とクリアなあとあじが特徴です。

それに対して、「アジシオ」にはグルタミン酸ナトリウムが加えられており、これが人工的なうま味を強化しています。

そのため、「アジシオ」はしょっぱさだけでなく、料理に人工的なまろやかさや濃厚なうまみ、深みのある風味をもたらします。

「食塩」を使用した場合と比較して、「アジシオ」を使うことで、わかりやすいうまみを楽しむことが可能になります。

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使い方の違いは?

「食塩」は一般的に料理の基本的な味付けに用いられ、塩味を提供します。

塩味そのものを付加する以外にも、少量使用することで素材が本来持つ味わいを強調し引き出してくれる働きがあります。

また、食材の脱水処理や臭み取り、菌のコントロール(発酵食品づくり)など料理の下ごしらえのために使用されるという用途の場合には「食塩」のほうが適しています。

料理の下ごしらえには食塩で十分

一方、「アジシオ」に含まれる人工的なうま味成分(グルタミン酸ナトリウム)により、「アジシオ」を使った料理には人工的なうまみが加わります。

そのため、「アジシオ」は強い旨味を付加する効果が期待できるため、うまみを強くしたい料理や素材の質があまりよくない時に特に適しています。

「食塩」は幅広い料理に使われる基本調味料ですが、「アジシオ」はうまみを加えるという目的で選ばれることが多いです。

 

販売価格の違いは?

「食塩」の販売価格は2024年4月時点では1kgで124円(税抜き)。

味の素が販売する「アジシオ」の販売価格はオープン価格になっているので、販売されている場所によって価格が異なりますが、「アジシオ」110gは、税込で約150円の価格で販売されています。

一方で、「アジシオ」の袋(サイズや重量の記載はないが、一般的な小売りサイズを想定)の価格は、過去において約89円から105円の範囲で変動していました。

このことから、「食塩」と「アジシオ」では販売価格に約10倍ほどの値段の差があることがわかります。

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カロリーの違いは?

  • 食塩のカロリー:0kcal(100g中)
  • アジシオのカロリー:31kcal(100g中)

「食塩」にはカロリーが含まれていませんが、「アジシオ」にはグルタミン酸ナトリウムが添加されており、これがわずかながらカロリーを含むため、100gあたり31kcalと発表されています。

このことから、アジシオは食塩に比べて31倍のカロリーがあることがわかります。

しかし、その量は非常に少なく、調味料として使用する際の量ではカロリーへの影響はほとんど考慮する必要がないでしょう。

一般的に調味料によるカロリーの影響は微小です。

 

食塩相当量の違いは?

  • 食塩の食塩相当量:99%以上
  • アジシオの食塩相当量:91.5%

「アジシオ」にはうまみ調味料以外にも塩が含まれていますので、「アジシオ」にも食塩相当量が存在します。

食塩相当量91.5%ということは、もし「アジシオ」を100g使ったら、そのうち91.5g分は「食塩」だということです。

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賞味期限の違いは?

「食塩」も「アジシオ」もどちらも賞味期限はありません。

「アジシオ」にはグルタミン酸ナトリウムという添加物がコーティングされている調味塩です。

本来調味塩には賞味期限が設定されるものですが、日本国内では「賞味期限」表示の省略ができる条件である「品質の変化が極めて少ないもの」に該当するため、「賞味期限」表示をしていません。

食塩に賞味期限がない理由について詳しく解説した記事はこちら

塩に賞味期限がない3つの理由をわかりやすく解説!10年前の塩でも大丈夫?

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