この記事の監修者:ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂
自宅でよくおにぎりを握る人にとって、おにぎり作りに欠かせないのが「塩」です。
塩は味付けだけでなく、おにぎりの食感や保存性にも影響を与えます。
そのため、適切な塩の選択はおにぎり作りの成功に直結します。
この記事では、おにぎり愛好家に向けて、自宅でのおにぎり作りに最適な塩の選び方とおすすめの塩を、塩の専門家である日本ソルトコーディネーター協会代表理事の青山志穂がご紹介します。
青山志穂先生のYoutubeチャンネルでおにぎりに合う塩の選び方とおすすめの塩10選という動画が公開されました。
わかりやすく解説しているのでぜひご覧ください。
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目次
塩おにぎりに最適な塩の選び方とは?
塩おにぎりはお米と塩というシンプルな組み合わせだけに、塩の選択が重要です。
おにぎりを自宅で作る際には、塩の結晶の形や大きさ、塩の味わいなどを考慮して、自分に合った塩を選ぶだけで、美味しさが段違いに変わります。
ぜひ、お気に入りの塩で自宅でおにぎり作りを楽しんでみてください。
おにぎり作りに適した塩の選び方のポイントは次の2点です。
- 塩の結晶の形や大きさ
- 適度な塩味がある塩
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ポイント①塩の結晶の形や大きさ
おにぎりには基本的に結晶の大きさが細かな塩が適しています。
細かい塩はより均一に分散し、ごはんにしっかり馴染んで調和した味を作り出します。
粒が大きかったりサクサクしたフレーク状だったりすると、おにぎりをかじった時にジャリッとした食感が目立ってしまうため、お米の食感を打ち消してしまうことがあります。
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ポイント②適度な塩味がある塩
おにぎり専門店の中にはしょっぱさの鋭い塩を少量使うことでお米の甘さを引き出しているお店もありますが、塩のしょっぱさが鋭い分、ほんの少しの塩の加減によってしょっぱさが強くなりすぎてお米の味を打ち消してしまう可能性もあります。
おうちで塩おにぎりを作る場合には、塩味が強すぎず弱すぎのほどよいしょっぱさの塩を使うと、失敗が少なくお米の味を引き立てることができるでしょう。
なお、しょっぱさの強弱はパッケージの裏側に記載してある「栄養成分表示」の中の「食塩相当量」という数値を見ることで推測することができます。
食塩相当量が低ければしょっぱさはまろやかで、食塩相当量が高ければしょっぱさが強い塩の可能性が高くなります。
平均値はだいたい100g中90~95gほどなので、この数字を基準にすると選びやすいでしょう。
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塩おにぎりに最適な塩10選
おすすめのお塩と産地 | 特徴 |
100zen海の塩 (山口県) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:細かめ 水分量:標準 特徴:お米の甘味に似た甘味がある海水塩です。おにぎりに使うと甘味が引き立ちます。 |
クリスマス島の塩 粉末 (キリバス共和国) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:細かめ 水分量:標準 特徴:ほどよいしょっぱさで、あとあじにミルキーな印象があります。塩おにぎりに使うとクリーミーさを感じる甘味が引き立ちます。 |
伊達の旨塩 (宮城県) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:標準 水分量:ややしっとり 特徴:凝縮感のある濃いうまみがあります。塩おにぎりに使うとうまみが付加されて濃厚なうまみを味わえます。 |
ウユニ塩湖の塩 (ボリビア) |
種類:湖塩 結晶:粉砕 大きさ:細かめ 水分量:さらさら 特徴:ほどよいしょっぱさと甘味、旨味、ごくわずかな苦味のある、バランスのよい塩です。お米の味を全体的に引き上げてくれます。 |
黒潮源流塩 (沖縄県/与那国島) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:細かめ 水分量:標準 特徴:ほどよいしょっぱさとはっきりとした、余韻の長いうまみがある塩です。おにぎりに使うと余韻の長いうまみが楽しめます。 |
浜御塩 (長崎県/対馬) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:標準的 水分量:ややしっとり 特徴:お米の甘味に似た甘味がある海水塩です。おにぎりに使うと甘味が引き立ちます。 |
粟国の塩釜炊き (沖縄県/粟国島) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:標準 水分量:しっとり 特徴:骨太だけど突き刺さらない塩らしいしょっぱさがあり、甘味、旨味、雑味、酸味も併せ持つ、味の数が多い塩です。特に雑穀を入れた塩おにぎりにおすすめ。 |
越前塩 (福井県) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:細かめ 水分量:標準 特徴:非常にしょっぱさがまろやかで、しっかりとした甘味があります。塩おにぎりに使うとお米の甘味が引き立ちます。 |
伯方の塩 粗塩 (愛媛県) |
種類:海水塩 結晶:凝集晶 大きさ:やや粗め 水分量:しっとり 特徴:しょっぱさ、甘味、旨味、雑味、苦味、酸味とすべての味がほどよく含まれていて、バランスのよい塩です。塩おにぎりの味わいを全体的に引き上げてくれます。 |
玉藻塩 (新潟県) |
種類:海水塩(藻塩) 結晶:凝集晶 大きさ:標準的 水分量:ややしっとり 特徴:うまみとホンダワラの香りが強く、磯の風味が鼻に抜ける藻塩です。海苔なしでも海苔あり塩おにぎりのような風味になります。 |
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塩の専門家が選ぶ、おにぎりに特におすすめの塩3選
実際に上記でご紹介した10種類の塩で塩おにぎりを食べてみて、個人的に特に気に入った3つをご紹介します。
- 黒潮源流塩
- 100zen海の塩
- 玉藻塩
特選①黒潮源流塩
沖縄県の与那国島で生産されている海水塩 です。
例えるならよく熟成して角が取れたミディアムボディの赤ワインのような、味に厚みがあって、塩かどがなく、突き刺さるようなしょっぱさがあります。
非常に旨味の余韻が長いのが特徴です。
粒も細かめでごはんにしっかり馴染みます。
一口食べた時に「え、うまっ」と声が出ちゃうような旨味が強い塩おむすびができあがります。
お米の品種をもし指定するなら、福井県のいちほまれ、北海道のゆめぴりか 味が濃くて旨味が強い、もちもち系のお米がおすすめです。
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特選②100zen海の塩
山口県の向津具半島に属する油谷島で生産されている海水塩です。
百姓庵の井上雄然さんが製塩しています。
自然が非常に豊かな山と、それが川を通じて流れ込む海に恵まれ、しかも湾になっているので滞留時間が長く、光合成をするため栄養が豊富です。
魚介類も多く生息しており、地域の特色を活かした製塩をするのにこれ以上の場所はないというほど理想的と言えます。その海水を数日間、枝条架式塩田で濃縮したのち、薪で炊いた平釜で煮詰めて結晶化し、井上さん独自の「天地返し」という技法も駆使して塩ができあがります。
ミシュラン星付き和食店のシェフもこの濃縮海水を舐めて「これは出汁の味がする」と驚いたほど上品なうまみがあり、同時にお米の甘味と同じ甘味があるため、塩おむすびに使うとお米の甘味がぐっと引き立ちます。
食べたあとの後口がとてもすっきりしてきれいなのも特徴の一つです。
お米の品種をもし指定するなら、岩手の銀河のしずく、愛媛のにこまるなどの上品な旨味と甘味がある、少しもっちりしたお米がおすすめです。
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特選③玉藻塩
新潟県の笹川流れという海の美しい景勝地沿いにある製塩所(日本海企画)で生産されている藻塩です。
製塩所の目の前の日本海の海水を薪で焚いた平釜で濃縮していく過程で、地元で採れたホンダワラ(玉藻)を海水と一緒に煮込んでエキスを抽出しています。
できあがった塩は昔ながらの藁で作った筒に入れてにがりを切ります。
海藻の味が非常に濃く、溶ける時に磯の香りが鼻に抜けるのが最大の特徴で、 私が知る限り磯の香りがここまで濃い藻塩は珍しいです。
海苔を巻いていないのに海苔付きの塩おにぎりのような印象があり、甘味と旨味のバランスのよい塩おにぎりができあがります。
お米の品種をもし指定するなら、青森の晴天の霹靂、茨城県のふくまるのような、比較的さっぱりしていて、刺身と合わせるようなお米におすすめです。
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おにぎりに最適な塩加減
どの塩を使うかも重要ですが、もう1つ大切なポイントになるのが、薄味で握ることです。
おにぎり1個ごはん110gに対して塩は1gくらいが目安です。
もし食べた時に薄く感じるようでしたら、塩をパラパラと足せば大丈夫です。
塩味の感じ方は体調やその人がその時にどのくらい塩を必要としているかによって大きく変わります。
同じ塩加減のおにぎりを食べても、ちょうど良く感じる人と薄く感じる人、濃く感じる人と分かれます。
スポーツの大会に持っていく、明らかに汗をたくさんかくことがわかっている日などは最初から塩多めで握っても大丈夫ですが、塩は一旦味をつけてしまうと引くことが非常に難しいため、最初は薄味で握っておくと失敗がありません。
また、手を水で濡らして塩を指につけてから握る「手塩」は意外と塩の調整が難しく、思ったより塩がついてしまった、薄かったなどの声をよく聞きます。
おうちで塩おにぎりを作る時には、酢飯を作る時のように、先にごはんに塩を混ぜこんでしまってから握ると良いでしょう。
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こういう塩はおにぎりに合いにくい
塩おにぎりをより美味しくしてくれる塩があるように、逆に塩おにぎりには合いにくい塩も存在します。
例えば下記のような塩です。
- しょっぱさが非常に強い塩
- 結晶が大きめでザクザクしたタイプ
しょっぱさだけしかない塩
塩のしょっぱさが強めの場合、ごはんの味は繊細なため、ちょっとした塩加減の違いでお米の味が負けてしまう場合があります。
結晶が大きめでザクザクしたタイプや粒が大きめの塩
あまりにも結晶が大きかったり、サクサクしたタイプのフレーク状の塩を使用した場合、お米の食感よりも塩の食感が勝ってしまい、お米が口の中からなくなったとも、塩の味が残りがちになります。
この状態では塩おにぎりとしての完成度は低いと言えるでしょう。
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マグネシウムと硫黄の多い塩の使用には注意が必要
マグネシウムの多い塩を使用すると、お米が黄色く変化する場合があります。
これは、マグネシウム アミノカルボニル反応という現象で、お米に含まれる糖とアミノ酸がマグネシウムに反応してメラノイジンが生成されてしまい、結果として褐変してしまうことがあります。
同様に、硫黄を多く含む塩ではお米が緑色に変化することがあります。
これはお米に含まれる色素にフラボノイドがあることに起因していて、硫黄が中性からアルカリ性分を示すため、お米のフラボノイドと硫黄が反応して黄緑から緑色に変色することがあります。
どちらも品質が劣化したわけではないので食べられるのですが、黄色くなると古米に見えますし、緑色になるとカビではないかと心配になると思いますので、できれば使用しないほうがよいでしょう。
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さいごに
「おにぎりぼんご」や「浅草 宿六」に代表される大人気のおにぎり専門店に数時間待ちの行列ができるほど、空前のブームを迎えているおにぎり。
塩おにぎりはシンプルなだけに、材料の質と塩加減、握り方でできあがりの味わいが大きく左右されます。
この記事がおいしい塩おにぎりづくりに役立てたらとても嬉しいです。ぜひ、塩にこだわって作ってみてくださいね。
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詳しくは、青山志穂先生の公式販売サイトをご覧ください。
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