この記事を書いた人:日本ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂
はじめに
「塩」と「塩化ナトリウム」はよく同義に使われる言葉ですが、本当に一緒なのか?
実際にそれぞれが何を指すのか、違いがあるのかと疑問に思う人も多いでしょう。
この記事では、「塩」と「塩化ナトリウム」の違いについてと、「食塩相当量」についてわかりやすく解説しています。
「塩」は、私たちの生活に欠かせない調味料であり、料理の味を引き立てる役割を持ちます。
一方、「塩化ナトリウム」は、化学的な成分として知られており、塩の主要な構成要素です。
つまり、「塩化ナトリウム」は「塩」の一部なのです。
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塩とは何か?
「塩」は、料理や食品加工で広く使われる調味料で、一般的には塩化ナトリウム(NaCl)と同義に使われることが多くありますが、「塩=塩化ナトリウム」ではありません。
塩の定義
「塩」とは、ナトリウムイオンと塩素イオンをメインに、商品によってはカルシウムイオンやマグネシウムイオン、カリウムイオンなどが結合したミネラルの塊です。
塩化ナトリウムとは何か?
塩化ナトリウムは、化学式ではNaClと表記される、ナトリウムイオン (Na⁺) と塩素イオン (Cl⁻) が結合して形成された結晶構造を持つ化合物で、塩の主成分です。
この結晶構造は、塩が溶けやすく、水に溶解するとイオンに分解する特性を持っています。
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塩化ナトリウムと塩の違い
塩化ナトリウムは塩の主成分ですが、「塩=塩化ナトリウム」という認識は間違いです。
なぜなら塩化ナトリウムの構成比は塩によって異なり、塩に含まれる塩化ナトリウムの純度は70%~99.5%と幅広いものなのです。
たとえば、「食塩」や「精製塩」は塩化ナトリウムの純度が99%以上と高く、一般的に天然塩や自然塩と呼ばれるものは塩化ナトリウム以外にも塩化マグネシウムや塩化カリウム、塩化カルシウムなど他のミネラル成分が含まれているものが多く存在します。
なお、塩化ナトリウムは化学的に合成されたものだと思われがちですが、主に海水を蒸発させる方法や、岩塩鉱床から採掘する方法で得られます。
食塩相当量とは?
食塩相当量とは、食品中に含まれるナトリウムの量を表す数値で、食品の栄養成分表示において、食品中に含まれるナトリウム量をわかりやすく示すために用いられます。
ただし、食塩相当量が表すのは、単純に塩がどれだけ使われているかということではありません。
肉や魚、野菜などの食品中には、もともと塩化ナトリウム以外のナトリウムも含まれているからです。
たとえば、うまみ調味料のグルタミン酸ナトリウムや、保存料として使われるアスコルビン酸ナトリウムなども、ナトリウムとして計算され、食塩相当量に含まれています。
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食塩相当量の計算方法
食塩相当量を計算する方法は、食品中のナトリウム含有量を基に行います。
ナトリウムの量を食塩相当量に換算するには、次の計算式を用います。
食塩相当量(g/100g)=食品中のナトリウム量(mg/100g)×2.54×1000
この2.54という数字は、塩化ナトリウムがナトリウムと塩素という2つの原子でできていること、そしてその原子量に由来します。
ナトリウムの原子量は23、塩素の原子量は35.5なので、合計すると58.5。
合計数58.5をナトリウムの原子量23で割ると2.54になります。
ナトリウムが1グラムの時、塩分に換算するとは2.54gになるということです。
塩分摂取を適切に管理するために、食塩相当量の概念を正しく理解しましょう。
まとめ
この記事では、塩と塩化ナトリウムの違いや、食塩相当量について詳しく解説しました。
塩は料理や食品加工で重要な役割を果たし、塩化ナトリウムは、程度の差はあれどその主要な構成成分です。
塩と塩化ナトリウムの違いは、塩が他の成分も含むのに対し、塩化ナトリウムは純粋な化学的構造を持つことです。
食塩相当量は、食品に含まれる塩分を示す指標であり、食品のナトリウム含有量を塩分量に加算して表したものです。
食品に含まれる塩分量を適切に理解し、摂取量をコントロールすることができます。
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