塩コラム

この記事の監修者:ソルトコーディネーター協会代表理事青山志穂

日本ソルトコーディネーター協会代表理事:青山志穂
日本ソルトコーディネーター協会代表理事:青山志穂

お刺身が好きな人にぜひ試してほしいのが、塩です。

生魚である刺身の食べ方としては、醤油+わさびという組み合わせが一般的ですが、塩で刺身を食べるのが美食家の間では流行しているほど美味いのです。

とくに白身魚のお刺身には塩が合います。

この記事では、刺身愛好家に向けて、刺身に最適な塩の選び方とおすすめの塩を、塩の専門家である日本ソルトコーディネーター協会代表理事の青山志穂がご紹介します。

青山志穂先生のYoutubeチャンネルで刺し身に合う塩の選び方という動画が公開されました。

わかりやすく解説しているのでぜひご覧ください。

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刺身に最適な塩の選び方とは?

刺身に合う塩を選ぶときにまず確認するべき点は、魚に脂がのっているか?脂が少ないかどうか?ということです。

そして、刺身の食感も確認してください。

食感がコリコリしている魚か?それとも食感が柔らかい魚なのか?

刺身の食感と脂ののり具合によって塩の選択がまったく異なってくるのでとても重要です。

刺し身に適した塩の選び方のポイントは次の2点です。

  1. 魚に脂がのっているか?
  2. 刺身の食感はコリコリしているのか柔らかいのか?

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ポイント①魚に脂がのっているか?

白身魚のお刺身に合う塩を考えるときに重要なのが脂ののりです。

  • 脂が多い刺身:しょっぱさが強い塩
  • 脂が少ない刺身:まろやかな塩

●脂がのってる刺身(ハマチ、のどぐろ、ヒラメ、エンガワ)

ハマチ、ノドグロ、エンガワ、ヒラメの刺身
ハマチ、ノドグロ、エンガワ、ヒラメの刺身

脂がのっている魚は、脂の味が強いので、しょっぱさはそこそこ強めの塩がおすすめです。

●脂が少ない刺身(真鯛、金目、カンパチ)

真鯛、金目、カンパチの刺身
真鯛、金目、カンパチの刺身

脂が少ない魚は、刺身の味が繊細なので、しょっぱさがまろやかな塩がおすすめです。

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ポイント②刺身の食感に合った塩を選ぶ

白身魚のお刺身に合う塩を考えるときに重要なのが脂ののりだけではありません。

食感も考える必要があります。

  • 食感がコリコリした刺身:結晶がやや大きい塩
  • 食感が柔らかい刺し身:結晶が小さめの塩

●食感がコリコリした刺身(カサゴ、キジハタ、フグ)

カサゴ、キジハタ、フグの刺身
カサゴ、キジハタ、フグの刺身

食感がコリコリしている魚には、塩の粒(結晶)がちょっと大きめの塩が合います。

食感が強い刺身には咀嚼回数を要するため、口の中ですぐに溶けて無くなってしまうような塩では物足りなさを感じてしまいます。

そのため、強い食感に負けない塩を選ぶ必要があります。

●食感が柔らかい刺身(真鯛、ハマチ)

真鯛とハマチの刺身
真鯛とハマチの刺身

食感が柔らかい刺身には、塩の粒(結晶)がちょっと小さめで馴染みやすい塩が合います。

食感が柔らかい刺身には、口溶けも早いので、ガリガリした後味の残る塩では、塩のしょっぱさが口に残り強調されてしまいます。

そのため、口溶けのよいお塩が向いています。

このように魚ごとの刺し身の特性に合わせて塩を選ぶことで、刺身の味を最後までしっかり支えてくれる組み合わせになるというわけです。

選び方のまとめ

  • 脂がのってて食感がコリコリ→しょっぱさ強め、結晶大きめ
  • 脂がのってて食感が柔らかい→しょっぱさ強め、結晶小さめ
  • 脂がのってなくて食感がコリコリ→しょっぱさまろやか、結晶大きめ
  • 脂がのってなくて食感が柔らかい→しょっぱさまろやか、結晶小さめ
  • さらさらした塩でもべたべたした塩でもどちらでもOK

 

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刺し身(白身魚)に最適な塩10選

おすすめのお塩と産地 特徴
白いダイヤ
(新潟県)
白いダイヤ

種類:海水塩

結晶:凝集晶、フレーク

大きさ:細かめ

水分量:標準

特徴:余韻が綺麗でくちどけが良く、海風の香りが口から鼻にかけて駆け抜ける感じを味わうことができます。刺身に鮮度が戻ってくる印象です。

浜比嘉塩
(沖縄県)
浜比嘉塩

種類:海水塩

結晶:凝集晶

大きさ:大きめ

水分量:しっとり

特徴:ほどよいしょっぱさで、あとあじにミルキーな印象があります。少し粒が大きいので、少し砕いて、ノドグロやハマチ、キンキのような脂ののった白身の刺身のあとあじを引き立てます。

入浜式の塩
(香川県)
入浜式の塩

種類:海水塩

結晶:凝集晶

大きさ:標準

水分量:普通

特徴:凝縮感のある濃いうまみが口の中で長く続きます。バランスの良い味わいで、刺身の味わいや香り全体を底上げしてくれます。

マルドンシーソルト
(イギリス)
マルドンシーソルト

種類:湖塩

結晶:フレーク、トレミー

大きさ:大きめ

水分量:さらさら

特徴:ほどよいしょっぱさと甘味、旨味、ごくわずかな苦味のある、バランスのよい塩です。サクサクした食感なので、身がコリコリとした刺身に合わせるのがおすすめ。オリーブオイルとの相性も抜群なので、カルパっしょ風にしても。

カマルグ・フルール・ド・セル
(フランス)
カマルグ・フルール・ド・セル

種類:海水塩

結晶:凝集晶

大きさ:大きめ

水分量:しっとり

特徴:ほどよいしょっぱさとはっきりとした、余韻の長いうまみがある塩です。甘酸っぱい印象があるため、オリーブオイルと併せてカルパッチョのようにして食べるのがオススメ。コリコリと食感のある刺身の甘味を引き立ててくれます。

えん藻昆布塩
(山形県)
えん藻昆布塩

種類:海水塩

結晶:凝集晶

大きさ:やや大きめ

水分量:普通

特徴:海水と一緒に昆布を煮込んで藻塩を製造し、その後、さらに昆布エキスをブレンドして低温乾燥させています。いわば二段仕込み。上品なうまみが強く、刺身と一緒に食べると口の中で即席昆布締めが出来上がります。

ぬちまーす
(沖縄県)
ぬちまーす

種類:海水塩

結晶:パウダー

大きさ:極小

水分量:さらさら

特徴:最初にすっとしょっぱさを感じますが、その後、甘味、旨味、雑味、酸味も併せ持つ、味の数が多い塩です。量の調整が難しいので、刺身にすり込んで熟成刺身を作る時などにおすすめ。アミノ酸の分解が促進されうまみが濃厚になります。

坊津の華
(鹿児島県)
坊津の華

種類:海水塩

結晶:フレーク

大きさ:普通~やや大きめ

水分量:さらさら

特徴:非常にしょっぱさがまろやかで、しっかりとした甘味があります。食感があるタイプの刺身との相性が抜群で、甘味をしっかり引き立ててくれます。

屋我地マース
(沖縄県)
屋我地マース

種類:海水塩

結晶:凝集晶

大きさ:普通

水分量:ややしっとり

特徴:上品なだしのような淡い旨味があり、海の香りが鼻孔に広がります。刺身にうまみとフレッシュ感を与えてくれます。

玉藻塩
(新潟県)
玉藻塩

種類:海水塩(藻塩)

結晶:凝集晶

大きさ:標準的

水分量:しっとり

特徴:うまみとホンダワラの香りが強く、磯の風味が鼻に抜ける藻塩です。白身魚の刺身に風味を加えてくれます。貝類にも。

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塩の専門家が選ぶ、おにぎりに特におすすめの塩3選

実際に上記でご紹介した10種類の塩で刺身を食べてみて、個人的に特に気に入った3つをご紹介します。

  1. 白いダイヤ
  2. 坊津の華
  3. えん藻昆布塩

特選①白いダイヤ

白いダイヤ

 

新潟県と山形県との県境にほど近い塩ひき鮭で有名な村上市にあるミネラル工房さんが作っている海水塩。

豊かな自然に恵まれた豊富な魚類と栄養バランスの良い日本海の海水を薪で焚いた平釜で煮詰めて蒸発させます。

湯煎のような形でじっくり熱を通していくことで完成します。

一晩おいて不純物を沈殿させて上積みだけ使うので、ごく小さなフレークの結晶になり、透明でキラキラした結晶はまさにその名の通りダイヤモンドのよう。

しょっぱさはほどよい感じで、余韻が綺麗な上にくちどけが良く、海風の香りが口から鼻にかけて駆け抜ける感じを味わうことができます。

価格は100gで600円~

1皿1gとしたら100回分なので、1回あたりたったの6円!

それでめちゃくちゃおいしくなるのだから、買って損はありません。

メーカー直販もあって、その他ネット販売でも売ってるので入手もしやすいお塩です。

公式サイトはこちら

100gあたりのミネラル含有量
食塩相当量 89.5g
平均値よりも下
カリウム 300mg
カルシウム 140mg
マグネシウム 500mg

 

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特選②坊津の華

坊津の華

 

鹿児島県南さつま市坊津町で日高さんご家族総出で作られる海水塩。

お父さんが始めて息子さんも一緒に、もう18年になるそう。

 

製塩所の近くにある自然浜の地下から淡水が湧いているスポットがあり、そこから取水しています。

真水と海水が混ざることで塩分濃度が少し薄くなるから製塩効率は下がるのですが、その代わりに海水だけでは醸し出せない味になることが多いんだそうです。

海底湧水を研究している人もいるくらい奥深い世界。

薪で焚いた平釜に海水を入れて、つぎ足しながら濃縮していきます。

濃縮した海水を12時間かけて低温でじっくり加熱していくのですが、全国の製塩所の中でも12時間ってかなり長いほう。

沸騰させないで低温だから時間かかるのですが、その代わり薄くてサクサクのフレーク状の結晶ができあがります。

サンゴ礁が多いエリアなので、海水中のカルシウムが多いことから、炊いてる最中に1時間もかけてカルシウムすくうのだそうです。

珍しいっていうか、これもすごい長い!

地道で大変な作業です。

結晶はフレーク、トレミー型でサクサクした触感なのにくちどけがとても良いのが特徴。

しょっぱさは結構まろやかな味わい。

刺身との相性は抜群で、刺身の甘味が増して濃厚になっていくのを感じることができるはず。

最後まで刺身に寄り添って、最後に甘味がぶわっと引き立つ。

もし、オイルを合わせるなら刺激の少ない重めのタイプを加えて、とことんもったりさせたい逸品です。

脂の少ない刺身のほうがおすすめのお塩です。

価格は70g324円という信じられない衝撃の値段(格安!)

あんなに時間と手間暇かけて作っているのに、本当にこの価格でいいのかと思ってしまうほどです。

入手のしやすさですが、正直、ちょっと手に入りにくい部類かと思います。

塩を作ることに集中したいそうで、自社での通販などはしていないので、物産館とか鹿児島県の物産を扱う通販サイトなどから購入する必要があります。

100gあたりのミネラル含有量
食塩相当量 86.6g
平均値をだいぶ下回る
カリウム 260mg
カルシウム 1200mg
マグネシウム 680mg

 

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特選③えん藻昆布塩

えん藻昆布塩

新潟県と山形県の両方に製塩所があり、高岡さんという生産者が丹精込めて作っている藻塩。

家族のアレルギー発症をきっかけに無添加住宅の営業から、本物の塩に出会ったことをきっかけに製塩業界へ転身。

日本海の海水を取水して平釜で濃縮しています。

その後低温でじっくり加熱。

海水と一緒に昆布を煮詰めることでエキスを抽出し、収穫したお塩を乾燥させている時に「追い昆布エキス」を加えてより一層旨味が濃厚になっています。

まちがいなくおいしい逸品。

結晶の形は凝集晶、フレークで小気味のいいサクサクした食感が特徴。

味わいはかなりまろやか。

昆布のうまみがたっぷりでこの塩単体で食べてもうまい!

白身魚と昆布と言えば、昆布締があるくらい相性がものすごく良いので、この藻昆布塩を使うと口の中で即席昆布締め」ができあがります。

でも主張しすぎず、魚本来の味わいとか香りはそのまま感じられ、食感もねっとりした印象になります。

脂のすくない刺身に合わせるのがおすすめのお塩で。ねっとり濃厚な印象が強くなるので、日本酒が進んじゃうんだよね!

価格は180gで630円~。

入手のしやすさは比較的容易で、スーパーに広く流通はしていませんが、メーカーの直販もあり、ネットで購入することができます。

公式サイトはこちら

 

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刺身を塩で食べるときのポイント

箸で刺身をつまんで塩をつけるのはやめたほうがいいです。

理由としては、塩の量がコントロールできないからです。

刺身の水分もあるから、塩がつきすぎてしまうことが多く、しょっぱくなりすぎてしまう失敗をしやすいです。

そのため、刺身を塩につけるのではなく、指で塩をつまんでパラパラと刺し身にかける方法がおすすめです。

塩を指先でつまんでいる画像
塩は指でつまんで刺身に振りかけるのがおすすめ

これなら、塩分量もコントロールできるので、ほどよく塩をかけることができます。

あと、わさびについて。

わさび
塩とわさびの相性も◎

塩とわさびも、醤油とわさびの関係と同じで相性がいいから、お好みでわさびを合わせてください。

ちなみに私はお酒を飲みながら刺身を食べるときは、わさびをつけて食べますが、ごはんと刺し身を食べる時はつけません。

お酒の時は、あのわさびの突き抜ける香りがうれしいんですよね!

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こういう塩は刺身に合いにくい

白身のお刺身をより美味しくしてくれる塩があるように、逆に刺身には合いにくい塩も存在します。
例えば下記のような塩です。

  • ガリガリ系の結晶の塩
  • 粒がめっちゃ細かい塩(べたつきやすい)
  • ひたすらしょっぱいだけの塩

 

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さいごに

刺し身を醤油じゃなくて塩で食べるメリットは2つあります。

  1. 魚の持っている味わいや香りが感じられる
  2. 刺身の食感に合わせて塩を選べる

醤油は香味成分がめちゃくちゃ多いので、香りからしてウマいですよね。

刺身を醤油で食べている画像
醤油で食べるお刺身も美味しいけど…

アミノ酸も多く含まれているから、当然そのままでもウマいんです。

刺身と合わせて醤油+刺身の風味でももちろんいいですが、やっぱり醤油が強いんです。

塩で刺身を食べると、魚の持つ特定の味わいや香りにスポットライトをあててくれる感じがして、甘味が引き立つし、海の香りが引き立つとか、塩で食べると魚の特徴がわかるというメリットがあります。 

さらに刺身の食感に塩の食感を合わせることで、最後まで刺身の味を引きたてることができます。

特に白身は噛むほどの味がでるものが多いので、味が出てくるタイミングに塩も合わせてあげると最後までアテンドしてくれる最高の組み合わせになります。 

この記事があなたの美食ライフに役立てたらとても嬉しいです。

ぜひ、塩にこだわってみてくださいね。

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