塩コラム

【塩の豆知識】パンと塩の関係

パンと塩って、実はとっても深い関係にあります。
塩分摂取制限のある人向けに、一部無塩のパンも製造されていますが、基本的にパンの製造には塩が欠かせません。

パン作りにおける塩の役割は多様で、まずは味付け。そして次に小麦粉のグルテンを引き締める作用があります。さらに酵母の発酵をコントロールする作用があり、過発酵や発酵不足を防いでくれます。

それを実証するため、昨年、一般社団法人ポリパンスマイル協会の代表理事・梶晶子さん、同協会理事であり西荻窪の醸しカフェの品田和義さん、そして同協会会員のみなさんと、ポリパン作りを行いました。
※ポリパンとはなにかについては同協会サイトをご参照ください

塩を入れないもの、「海の精」を使用したもの、「食塩」を使用したもの、合計3種類を仕込みました。

ナトリウム以外にマグネシウムやカリウムなどのミネラルも含む海水塩
ナトリウム純度が99.5%以上の海水塩

結果、どうなったかというと・・・
まずは焼き上がり。
上から見た感じでは、若干焼き色に差があるくらいで、そこまではっきりとした違いは見受けられません。

しかし、横から断面を見てみると・・・

左から「海の精」「食塩」「塩なし」です。

塩なしのものは生地が引き締まらず横に広がってベシャっとした仕上がりになっています。「海の精」を使用したものと「食塩」を使用したものは高さには違いがありませんが、生地のきめ細やかさに大きな違いがでました。

経験値として、マグネシウムを多く含む塩は、生地の引き締め作用が強く、きめ細やかなパンが焼き上がる傾向にあります。また、今回は丸パンですが、食パンの実験では、高さにも1cm近い差が出ました。

もちろん味についてもかなり大きな差が出て、「食塩」を使ったものはしょっぱさが鋭く、食べた瞬間に「しょっぱい!」と感じるほど。一方「海の精」を使用したものは、小麦粉のうまみと甘さが引き立ち、一同「おいしい!」と大絶賛でした。「塩なし」のものは、残念ながらパサパサ、ボソボソとしており、うまみの輪郭がはっきりせず、とてもおいしいとは言えない仕上がりとなりました。

今回の実験結果だけでも、パンづくりにおける塩がいかに重要な役割を果たすのかがよくわかりました。今後も、塩を変えながら追求していきたいと思います。